書籍のDXと「1冊目に読みたいDXの教科書」のデジタル特典の解説

2022年10月6日に、なるほど図解「一冊目に読みたいDXの教科書」を出版いたしました。そこで、書籍のDXとして目指すべき姿と、それに沿って、本書の読者特典として提供されるデジタル特典についてご紹介いたします。

書籍のDXとは何を指すかについては、7月の予約開始時に執筆したブログに詳しく記載しております。よろしければ、ご参照ください。

参照ブログ))DX入門書の出版を通じて書籍のDXに挑戦

本書の参照頁)P85 図2 従来の新聞とWebニュースの比較、P98 column 書籍のDXを考える

 

 

メディアがデジタル化する鍵とは?

 書籍というメディアのDXを考える際に、従来の書籍は電子書籍を含めて、デジタルとしての条件を満たしていないことを、前回のブログで記載させていただきました。では、どのような条件が整えば、コンテンツの価値がデジタル化したと言えるのでしょうか。メディアがデジタル化する際の変化の特徴としては、以下のものが存在します。

  • コンテンツ化

  • ネットワーク化

  • モジュール化

  • オープン化

  • パーソナライズ化

  • プラットフォーム化

 これに沿って、書籍というメディアのデジタル化について一緒に考えていきましょう。

書籍のコンテンツ化

 コンテンツ化とは、リアルな形状にとらわれないデータ形式」に替わることです。印刷物としての書籍はコンテンツ化されていませんが、Kindleなどの電子書籍は、データ形式になっているため、コンテンツ化していると言えます。コンテンツ化によって、価値は複製可能となり、需要を予測して印刷部数を決めるような制約から解放されます。

書籍のネットワーク化

 ネットワーク化とは、コンテンツ化された価値がネットワークを経由して遠隔地の他者に即時に受け渡すことが可能になることです。Kindleなどの電子書籍は、コンテンツ配信が可能となっているため、ネットワーク化していると言えます。ネットワーク化の特徴は、情報の流れが双方向になることです。そのため、コンテンツは受け渡すか受け渡さないかという2択ではなく、いつまでコンテンツを利用できるか、何回利用できるかなどの期限を管理者が自由に制御できるようになります。また、繋がり続けるという特徴もあるため、間違いを訂正したり、環境の変化に応じて内容を更新することが容易にできます。

書籍のモジュール化

 モジュール化とは、従来1つのかたまりの商品だったものが分解して流通できる状態になることを指します。分解して流通できることにより、本当に必要な部分だけを購入したり、顧客の好みに応じて、モジュール単位でリコメンデーションすることなどが可能になります。新聞というメディアで言えば、ニュースが1個単位で流通する状態に現在なっていますので、モジュール化化が進んでいると言えます。音楽と言うメディアについても、以前はアルバム単位で購入していたものが、今では楽曲単位で購入できるようになりましたので、モジュール化が進んだと言えます。

 この点で、書籍のモジュール化はどうでしょうか。本を丸ごと購入することはできますが、業務上引用したい部分を選んで、文章単位で引用する権利を購入するようなことはできないため、モジュール化していないとと言えます。Kindleでは、本文の最大1%に相当する文章を引用のために書き出すことが出来ます。しかし、1%という上限があるために、せっかく本から多くの学びを得て、活用したい場合にも、データを利活用することができません。

書籍のオープン化

 オープン化とは、モジュール化されたコンテンツが、提供者を跨いでオープンな場で流通することを指します。提供者に関係なくオープンに流通する場の出現により、ベンダーを跨いで最も関心の高いコンテンツにたどり着きやすい利用者視点のサービスが増えました。新聞というメディアで言えば、ニュースアグリゲーションサイト(Yahooニュース、NewsPicks、SmartNewsなど)が、様々な提供者のニュースコンテンツを提供者横断的に集約することで、それらのコンテンツのポータルとしてのポータルとしての存在価値を高めています。

 書籍については、そもそもモジュール化していないので、オープン化していないと言えますが、モジュール化、オープン化した書籍とはどのような状態なのでしょうか。例えば、特定の書籍を読んでいたら、何か他の書籍や出典を参照しており、そこにさかのぼって内容を確認することが読者の関心事を満たすための価値であったとします。モジュール化、オープン化が進んでいれば、それらの引用先についても、応分の利用料を支払えば、ストレスなくリンクした先も参照することができるでしょう。また、このような機能を想定し、執筆する側は他の書籍の重要な部分をモジュールとして著書の中に組み込むようなことも可能となるでしょう。

書籍のパーソナライズ化

 パーソナライズ化とは、提供者の視点ではなく、利用者の視点で、提供価値が再構成されることを指します。つまり利用者のニーズにあったコンテンツの見せ方、評価に関する情報、個人の興味嗜好に応じてリコメンドなどが可能となります。新聞、動画、音楽など、多くのメディアにおいては、市場のシェアを獲得するために、このような価値のパーソナライズに取り組んでいます。

 書籍については、モジュール化していないので、パーソナライズ化していないし、その道のりも長いであろうことが予測されます。書籍のパーソナライズ化としては、読み手の理解、感情、立場などによって、説明する内容がストーリー、順序がかわっていくようなことが想定されます。人がマンツーマンで直接説明する際に実施するような、相手の理解度や立場を踏まえて説明のポイントを変えるようなことをデジタルで実現することが該当します。

書籍のプラットフォーム化

 プラットフォーム化とは、利用者の属性データや行動データを蓄積し、提供価値の向上や差別化に繋げるためのデータ利活用の仕組みです。特に業界ディスラプションで注目されるのは、マルチサイドプラットフォームと呼ばれ、3つ以上のユーザーグループに価値を提供するビジネスモデルを指します。わかりやすいパターンとしては、新聞記事を提供する提供者、ニュースの読み手に加えて、広告主が3つめのユーザーグループとして存在する場合です。料理レシピサイトであれば、レシピ情報の提供者、レシピの利用者に加えて、関連する食材を広告したい食品メーカーなどです。プラットフォームビジネスにおいては、それらのすべてのユーザーグループを顧客とみなし、それぞれが蓄積したデータに基づいた提供価値の向上を享受するようにします。

本書の参照頁)P90-91 ディスラプションの主役「プラットフォーマー」

 書籍については、amazonなどのECサイトが読者のレビューや売上ランキング、著者情報、関連コンテンツの情報などのデータを利用して、購入する読者への利便性を高めると同時に、著者が売れ行きなどを確認するサイトを提供しています。そのため、購買活動に関する部分はプラットフォーム化できていると言えますが、消費活動に関する部分はプラットフォーム化をしようにも、モジュール化されていないので、実現できることがないという状況です。メディアの本質的価値は、その消費活動において享受されると考えると、消費活動がプラットフォーム化されていない以上、モジュール化していないので、書籍の提供価値はプラットフォーム化していないと言えます。書籍の提供価値がプラットフォーム化した際には、どのようなことが発生するのでしょうか。当然、書籍と言うリアルな形を伴わない状態になりますので、そもそも書籍と言う呼び方は相応しくなく、書籍もブログもSNSも論文も混在した形で、著作権を主張するテキスト情報や図案が動的に流通することになるのでしょう。よいコンテンツを市場に送り出すと、多くの人に活用され収入が得られる他、人類の知識獲得の手段は新しいステージに移行することになりそうです。ただし、コピー自由なデジタルコンテンツで著作権や決済を厳格に管理するために、ブロックチェーン技術の1つであるNFTや暗号資産のような技術を活用することが必要になるかと思います。

「一冊目に読みたいDXの教科書」で取り組むこと

 「一冊目に読みたいDXの教科書」は単行本です。電子書籍でも販売していますが、「固定レイアウト型」という形式で、紙面をそのままイメージ化したようなものですので、デジタルとはいい難いものです。しかし、このようなアナログなメディアを使うことが、より多くの方にDXについて学んでいただき、日本の競争力を高めることにつながると判断し、紙媒体で発行いたしました。

 そうすると、本来本質的な価値をデジタル化して多くの読者の皆様に最適な価値を提供したくても、入り口がアナログであるがゆえに、何もできません。

 そのため、今回は入り口がアナログであっても最大限実現可能なデジタルの要素を取り込むことを企図しました。具体的には、デジタル化のメリットのいくつかを仮想的に実現し、読者の皆様の価値を最大化しようとしています。

  • コンテンツ化

    • 前述の通りアナログなメディアとしましたが、副教材をでじデジタル化するという観点で、読者を代表して計3名の方に、著者へのインタビューをしていただき、不明点や深く知りたい点などをご質問いただき、回答する動画コンテンツを提供いたします(理解を深めるための動画)。

  • ネットワーク化

    • 双方向という利点を実現するために、読者の皆様と継続的にコミュニケーション可能なコミュニティをこ構築いたしました(DX実践コミュニティ)。また、コンテンツの更新という観点では、本書自体の更新が難しいため、同コミュニティ内で、不明点、掘り下げて知りたい点などの情報を追加提供ことといたしました。出版以降に読者から寄せられる課題感や知見により、情報の価値が高まり続けることを図ります。

  • モジュール化

    • 今現在の出版業界の仕組みを考えると、モジュール化は容易ではないため、本書内でご紹介する図案やフレームワークをダウンロードし、業務に活用いただけるようにいたしました(デジタル付録)。

  • オープン化

    • 現時点では実現できることが見つけられませんでした。

  • パーソナライズ化

    • 本質的な価値が実践的な知見を得る事と考えると、読者の皆様が自身の理解を確認し、理解不足の点があれば復習できる仕組みを構築しました(復習のための実力テスト)。

  • プラットフォーム化

    • 現時点では実現できることが見えていませんが、前述のDX実践コミュニティをDAO(非中央集権自律型組織)に移行するなど、よりコミュニティの価値を高めて行くことを考えており、その中でメンバーの皆様と新たな挑戦をしていきたいと考えております。

「一冊目に読みたいDXの教科書」の読者特典まとめ

  • 理解を深めるための動画(読者ポータルより視聴可能)

  • DX実践コミュニティ特別招待(読者ポータルで3か月無料クーポンを配布)

  • デジタル付録(読者ポータルよりダウンロード可能)

  • 復習のための実力テスト(読者ポータルより利用可能・現在準備中)

    読者ポータルについては、本書あとがき(P188)に掲載のURLないしQRコードから飛ぶことができます。是非ご利用ください。

書籍概要

書名:なるほど図解 1冊目に読みたいDXの教科書

出版:SBクリエイティブ

発行:2022年10月6日(書店に並ぶのには少しタイムラグがあると聞いています)

形式:単行本(A5版)、電子出版(Kindleなど)

頁数:224ページ

詳細: なるほど図解「一冊目に読みたいDXの教科書」特設ページ

お願い

読んでいただいた皆様は、amazonのレビューにコメントをいただけると光栄です。

 

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